241番目の男

 日比谷通り(本郷通り)を大手町方面へ神田橋の高速乗り場を越えて少しいくと、左側で手が上がった。こんなとこに人住んでるんだな?居住用のマンションらしきものが見える。

 その方は体は子供位だけど、ガッチリしており、顔は間違いなくおじさんで、両足には歩くための補助器具を付けていた。

 三田の中央病院までお願いします

赤羽橋のとこのやな。このまま日比谷通りを真っ直ぐいって、芝園橋の交差点を右に行けばよいだらう。病院のタクシー乗り場に、客が居たらつながるなぁ、なんてことを考えていると、その方は自分の病気のことを語りだした。

 「運転手さん、日本に難病っていくつくらいあると思う?」

 「え、っと50個くらいですか?」

 「241個だよ。俺は今年やっと認められた241番目の難病なんだよ」

 「え〜っ、そうなんですか?失礼ですがどういった病気なんでしょうか?」

「体の発達がうまくいかないので、小児科扱いなんだよ。んで名前もナンチャラって横文字のものがついてなくて、発達不全とかなんとかそういう状態を表すものそのものが病名みたいなんだよな。アメリカとかそうみたいだよ」

 今年難病指定されたばかりの人を乗せるなんて、ある意味当たりや!などど意味不明なことを思いつつ、病院へつく。

 やっと難病に指定されて、国から援助もでるようになったかな?それまでは仕事なんかでも普通に扱われていたとしたら、結構大変だったのかな?など思いもよぎったが、この方、人生楽しんでおられてるようだ。

 俺もガンだけど、人生は楽しもう。

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